OKRとはなんぞやと聞かれたら、
定性的な目標(Objectives)と、それに対してどれだけ進んだかを客観的に評価する定量的な指標(Key Results)を用いてプロジェクトの成功を目指す
と説明され、それらの頭文字を取ってOKRと呼ばれている。 雑に言えば、チームが一体となって取り組んで目指す一番やる気出せる方法の体系化だろうか。 数値が最終的な目的地となるKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)とは異なり、OKRで取り扱う数値は高い目標を達成するために最終的な目的地にはならない点が挙げられる。
まぁ、Google re:WorksのOKRの章を無料で読むことができるので一度目を通すと良さそう。
カヤックでもプロジェクトの計画にOKRを用いられることがあるが、はてさて、僕は古今東西のマネジメント法は色眼鏡で見てしまいがちなので一度ちゃんとまとめられている本を読んで見ることにした。
本書は大体200ページ、2日で読破できる内容となっており、構成として第一部は高品質の茶葉を販売したいスタートアップがOKRを導入するフィクション、第二部はOKRを導入する直面する問題や悩みに対するアンサーに近い内容で分けて書かれている。 ビジネス書の物語は良くも悪くも、その本が語りたいことに都合がいい歪曲したストーリーになっているため参考になりにくいが、後述する失敗のエピソードを重視しているため不自然さを感じられない。 むしろ、このストーリー部だけアニメにでもしたら面白いと思われる。
読んでみた感想としてはOKRを実践するのは難しいということをしつこく教えてくれるので、OKRをチームに導入しようか考えている場合にぜひ読んで欲しい内容になっている。 OKRの表層的な知識はWebのどこでも得られるが、これを成功のパターンに持ち込むには様々な誘惑・怠惰があるよということを説明するのに本書の7割ぐらい占めているのはビジネス書としては珍しいと思う。 でも、OKRは絶対に初回は失敗するから諦めないでやり方を修正して成功して欲しいと願っているからこそ口が酸っぱくなるほど失敗とアンチパターンに内容が詰め込まれている。
OKRは難しいとしつこく書かれている中で、個人的に難しいと思ったのが「KRを設定しにくいプログラマーやCSはどうやって貢献を定義するのか」(p164)だった。 僕がエンジニアだからというのもあるが、アンサーの内容に対してもこれはケース・バイ・ケースじゃないのかと思い、未だに答えを出せてない。 多分、OKRを設定する単位が会社なのかチームなのかプロジェクトなのか個人なのか、規模によって答えが全然異なるからだからだが、実際にそのときにならないと僕は決めれなさそうなので保留しようと思う。
OKRが成功する実践は難しいがチームの一体感は上がると感じさせ導入へのやる気を上げてくれる本書は何度も読みたい。